店主昆野

05-06-2023

熟成経産牛の話

経産牛とは

経産牛とは、お産をした牛です。
主に10~14歳くらいまでお産をした牛が
多い気がします。

経産牛は、年を取っているせいか
身質が硬く、ミンチ肉に使われたり
することが多いです。

主に牧草を食べて育つため、
色素が脂に沈着して黄色になることが多く
市場ではあまり評価されていません。

最近では、お産を終えた牛を
熟成させることで、高付加価値にする
動きもあります。

今回は、実際に熟成を行ってみた感想など
つらつらと書いていきたいと思います。
 

経産牛熟成の難しさ

先日、鹿児島県の鈴木さんが育て上げた
13歳の「ふじ」の熟成を行いました。

熟成前から、味が濃くとても良質な
牛だと分かるくらいでした。

実は経産牛を扱うのは今回2回目で
1回目は経産牛の難しさを
まじまじと見せつけられました。


経産牛の難しさは
「歩留まりと硬さ」
これに集約すると思います。

歩留まりの悪い経験
1回目の熟成の時の歩留まりは
何と26%、、、、
6割以上は脂だったんです。

私の経験則から歩留まりは
6割程度だと思っていましたが
この時は笑うしかありませんでした。

超大赤字でした。

※1回目熟成した時の経産牛

硬さの経験
これは2回目の熟成で
13歳ふじを熟成させたときのこと。
 イチボを捌いているとき
 「お、、これはヤバいとことがあるな」

試食をしてみると本当に噛み切れない。
 顎ではなく、頭が痛くなるほど。

  経産牛の硬さを 甘く見てはいけない
と思った瞬間でした。

熟成経産牛は美味しいのか

結論、とても美味しくなると思っています。

個体差はあれども
経産牛は若い牛と比べると
独特の深さがあると思います。

この深みは、一種のクセの部類に
入ると思いますが
そこに趣を感じます。

そこに熟成を加えることで
さらに旨味が増し
重層的な深みがでます。

経産牛は万人受けではないと思いますが
何というか、牛の生きてきた証
みたいなものをそこに感じるので
私は大好きです。

※経産牛「ふじ」は登記証付きで
商品化しました。

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